Q.インプラント治療は、どんな治療方法ですか?

A.インプラントを埋入し、その上に人工の歯をかぶせることで、機能や審美の回復を行います。
インプラント(Implant=植えつける)は、人工歯根ともいわれ、歯を失ったところに歯の根に相当する人工物を埋入し、人口の歯を被せる治療法です。手術によって埋め込まれたインプラントは、骨となじんで固定され、健康な歯のようにしっかり噛むことが出来ます。

インプラントの構造

Q.インプラントの素材は何ですか?

A.インプラントは体のなかで非常に安定するチタンでできており、骨とのなじみをさらに良くするために表面処理が施されています。チタンは人工関節など、さまざまな医療分野で使用され、生体親和性の高い材料として世界で認められています。

Q.インプラントの寿命はどのくらいですか?

A.過去の統計からは、下顎で5年以上機能しているインプラントは97%、10年以上では90%、上顎ではこれより少し下まわります。しかし、上顎か下顎か、骨の量や骨移植・骨造成の有無、かみ合わせの状態などでインプラントを取り巻く環境が変わるため、一概には言えません。また、糖尿病などの生活習慣病や喫煙、歯周病などもインプラントの寿命に大きく関わってきます。

インプラントは虫歯にはなりませんが、骨に支えられている点では天然の歯と同じであり、骨が吸収していく病気である歯周病に罹患している方の場合、インプラントを長持ちさせるためには歯周病の安定化が不可欠です。そのためには患者さん自身の口腔衛生管理が非常に重要です。また、歯科医院で定期健診をうけ、インプラント周囲の粘膜の炎症の有無、かみ合わせのチェックなどを受けることも必要です。インプラントを入れたから大丈夫と安心するのではなく、患者さん自身が生涯保たせようとする努力が大切なのです。

Q.治療費はどの程度かかりますか?

A.インプラント治療は自由診療となっており、健康保険が適用されません。実際の治療費はインプラント治療の種類や本数、かぶせる人工の歯の材料などによって異なりますので、詳しくは歯科医師とよくご相談され、十分納得された上で治療をお受けになってください。

インプラント治療に関わる費用は高額ですが、失った歯の代わりとして、インプラントをご自身の第2の歯として機能させることが出来れば、食生活や社会生活の質、そして健康面から考えると、金品に換えられない価値があると思います。

私たちは1日3回(あるいはそれ以上)食事を摂ります。1か月では90回、1年で1000回以上、10年で1万回以上の食事をすることになります。1本のインプラント治療が30万円とすると、10年間機能すれば1回の食事あたり30円の負担となります。この30円という金額は、あなたにとって高いでしょうか?安いでしょうか?

Q.インプラント手術で失敗することはありますか?

A.通常のレントゲン検査に加え、CT検査など十分な術前検査をすませ、万全を期して治療にのぞみますのでご安心ください。インプラントの埋入手術は顎の骨の中にインプラントをしっかり植え込む作業で、これを予定通り行うことができれば99%成功と言ってよいと思います。しかし、予測できない原因で、インプラントと骨が結合せず、インプラントが動揺したり、痛みが出る可能性も皆無ではなく、この場合は手術の目的が達成されていないと判断し、すみやかに再手術を検討します。

Q.インプラント治療は誰でも受けられますか?

A.年齢の上限はありませんが、骨の成長がほぼ終了する16歳ぐらいからの治療となります。ただし、顎の骨の状態によっては治療ができない場合があります。また、歯周病の場合は、残っている歯の治療を行ってからインプラントをすることになります。

高血圧、心疾患、糖尿病、脳血管障害、肝機能障害、腎機能障害などの生活習慣病がある場合、これらの疾患が安定してからインプラント治療を受けてください。
骨粗しょう症でビスフォスフォネート製剤の投与を受けている方の場合、骨の治癒に影響があるため、休薬するなどの配慮が必要です。

なお、喫煙者は非喫煙者にくらべ、生活習慣病のリスクが明らかに高く、また統計的にインプラント手術後および治療後の経過(予後)に悪影響があるといわれています。

インプラント治療のできる年齢

Q.手術は大変ですか?不安です。

A.インプラントの手術は、局所麻酔を十分に行ったうえで安全に施行されます。腫れや痛みも鎮痛剤を服用することでコントロールできます。多くの患者さんは、抜歯したときより痛くないと言われます。

ただし、インプラントの埋入本数が多い場合や骨移植・骨造成をなどを行なう場合は、手術時間も長くなり、手術侵襲、術後の腫れや痛みも、強くなる傾向があります。

このため、当院では静脈麻酔・静脈内鎮静法を行いストレスの緩和を図り、術中からステロイドの点滴により腫脹を軽減する処置を併用します。